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P2 [映画]

人事じゃない、すぐそこにある狂気

キーワードは、大都会の死角、恐怖、妄想、狂気、スプラッター……。この映画に出てくる主な登場人物は、高層ビルのオフィスで働く女性アンジェラと駐車場の警備員トムの二人だけ。舞台は深夜の地下2階駐車場「P2」。残業で遅くなったアンジェラは帰りを急いで車に乗り込む。だけど、なぜかエンジンがかからない。警備員のトムが「バッテリーの故障じゃないかな」と、にこやかにアンジェラの車を調べてくれる。ちょっとおしゃべりで笑顔がさわやかな青年トム。この笑顔が歪んでいくのに時間はかからない。以前からアンジェラに興味を抱いていたトムは、彼女に異常な形で「好意というもの」を示す。アンジェラをP2に監禁して、以前、彼女にセクハラをした上司に罰を与えるという狂気のプレゼント

映画を観ながらふと思い出したのは、つい最近、目にした光景だ。「ぼく、もう、じぶんでできるもん」と自信たっぷりに自分勝手な行動をしている幼児が、少し離れたところにいる母親に「ママはあっちへ行っていなさい」と無邪気に命令する。その姿を見て、回りの大人が「いつもママに言われていることを、まねしているんだね」と笑いながら、その子どもに並んで待つことや、回りを見ること、人の話を聞くことを繰り返し根気よく教えていく。それだけのことなのだけど、その子どもにとって大切な時期に必要なことが為されていく過程を見たような気がした。

ある時期、子どもは幼児的な万能感を持つ。大人は、その万能感を少しずつ訂正しながら傷つけてやる必要がある。でないと、現実と向き合うことができにくい人間になってしまう。幼児的な万能感を心の中に抱いたまま大きくなってしまったら? 現実と向き合わなければならなくなったときに、脆弱な自我のままでは対処が難しい。傷が大きくなり過ぎて自分一人では受け止めきれず、自分よりも弱いものに攻撃を向けてしまいかねない。家庭内暴力に走ったり、自分の殻に閉じこもったり。あるいは、衝動的な感情をコントロールできずに犯罪に走ったり。いい子でいる仮面をかぶり続けていた場合などは、万引きをしたり、他人のものを失敬して喜ぶ軽犯罪でスリル感を味わうこともある。いずれにしても、犯罪の大小に関係なく、罪を犯したときは本人がその報いを引き受けなければならない。

さてさて、映画に戻ると。「好きだから」と言いながら、相手を思い通りにしようとしたり、自由を奪ったりするのは許し難い行為である。それは幼稚な人間のすることだ。トムの背景に何があるのかは描かれていない。生育歴をたどれば、おそらく保護者などに行動を縛りつけられたり、虐待されたり、あるいは甘やかされ過ぎたり、諸々のものが出てくるだろう。そうでなければ、これぼど独りぼっちで、自分一人で堂々めぐりをしたりしない。けれども、それが他人を自分勝手に扱う理由にはならない。自分の意思に反して閉じ込められたアンジェラはトムを激しく憎悪する。その、憎しみのこめられた瞳は真に迫るものがある。

誰にも自分を自由にさせない。相手に侵入しない。それが人とのつきあい方の最も大切なルールだ。


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